独自の「あつぎ地域SNS」からのシステム移行─スマホ対応のご近所SNS「マチマチ」の活用で利便性が向上し、交流が広がる

厚木市役所 情報政策課

借りて住みたいまち第1位* に輝くなど、自然と都市の調和した暮らしやすい街として注目されている神奈川県厚木市。2019年8月にマチマチと協定を締結し、市が独自に運営していた「あつぎ地域SNS」の後続サービスとしてご近所SNS「マチマチ」を利用し、市政情報や街の話題などの行政情報を発信しています。

今回は厚木市情報政策課の熊谷さんと萩原さんにお話を伺い、マチマチを導入して何が変わったのか、住民のコミュニケーションの場としてマチマチをどのようにご活用されているかお話しいただきました。

*2021年 LIFULL HOME'S住みたい街ランキング(首都圏版)にて、「本厚木」が借りて住みたいまち第1位、買って住みたい街第3位となりました。

熊谷真也さん(写真右)(厚木市役所 政策部 情報政策課 地域情報推進係)
2010年からホームページ・公共施設予約・各種SNSなどの住民向けWEBサービスの運用管理を担当。
萩原徹さん(写真左)(厚木市役所 政策部 情報政策課 地域情報推進係)
2019年からメールマガジン・各種SNSなどの市の情報発信に関連するサービスの運用管理を担当。
※写真撮影:佐藤真澄さん(厚木市役所 政策部 情報政策課 地域情報推進係長)

スマートフォンの普及とサービス継続の難しさ

はじめに、「あつぎ地域SNS」を運営される中で感じられていた課題を教えてください。

熊谷さん: 厚木市では、平成20年から、総務省の地域ICT利活用モデル構築事業にも採択された「あつぎ地域SNS」というサービスを運営していました。

約10年間サービスを運営する中で、一番大きかった変化がスマートフォンの普及です。

「あつぎ地域SNS」はパソコンでの利用を前提にしたサービスでした。例えば、投稿に写真を添付しようと思ったら、デジタルカメラで撮った写真をパソコンに取り込んで、それを投稿に添付する、という作業をしなくてはいけない。スマートフォンの普及によってそういった使い方が不便になり、だんだん利用者が減っていきました。

また、「あつぎ地域SNS」を利用するためには、行政の窓口で本人確認を行った上で登録する必要があり、不適切な投稿がないかのチェックも毎日職員が行っていました。そういった運営業務の負担に加え、システム運用費も発生し、利用者が少なくなっていく中で費用対効果が薄れていると感じていました。

利用者数と運営コストが見合わなくなっていたのですね。

熊谷さん: はい。市が独自に開発したサービスを最新の情報通信技術や社会環境に適合させることが困難であると感じていました。そんな時、「あつぎ地域SNS」の母体となる「マイタウンクラブ」というサービス全体のリニューアルが決定し、地域SNSを廃止するのか、新たに作り直すのか、別のサービスに置き換えるかを検討することとなりました。

その時に、他の自治体でマチマチを活用しているという話を聞きました。サービス内容を見てみると、住民が自由に地域の情報を投稿したり、コミュニティを作ってやりとりすることができる。「あつぎ地域SNS」と近い使い方ができるので、利用者の方にとっても移行先として適していると思いました。また、スマートフォンでの利用も可能になるので利便性も向上すると思い、マチマチの利用を決めました。

サービス移行で業務負担の削減に成功

マチマチの導入後、どのように住民へ浸透させていったのですか?

熊谷さん: まず、厚木市職員で住民向け操作説明会を行いました。今まで「あつぎ地域SNS」を利用していた方もそうでない方もお越しになり、操作方法等の個別案内を行い、新サービスへの理解を深めていただきました。

萩原さん: 参加者は高齢の方が多かったですが、皆さん抵抗感もなくスムーズに使い始めることができました。「普段はスマホで電話くらいしかしないが、自分から何かを発信したり交流したりできるのが面白い」と興味を持ってくださったのです。

熊谷さん: 説明会での反響が大きかったため、現在はより多くの方に知ってもらおうと様々な手段で広報活動を行っています。広報紙へのリンク掲載、市で制作している映像番組でのマチマチのPR、小田急線本厚木駅前のデジタルサイネージでの掲載などです。それらの効果もあり、利用してくださる方が増えてきたと感じています。

担当者としてはどのような業務を行っていますか?

熊谷さん: 通常業務としては、月2回の広報紙のデータを公共機関のカテゴリに登録する作業を行っています。「あつぎ地域SNS」ではシステムの運用管理、利用者対応、登録事務、監視活動を全て対応していたので、事務作業は大きく削減されました。

左:「あつぎ地域SNS」から継続して利用する方の投稿、右2枚:図書館で行われるイベントに関するやりとり

加えて、厚木市に地区登録している利用者の投稿を定期的に見て、市役所の業務に関係するような話題があったときは担当部署に情報提供を行っています。

萩原さん: 例えば、公民館や図書館で行われるイベントのチラシの写真を投稿してくださる方がいて、そこに「こんなイベントがあるのですね」「面白そうだから行ってみたい」といったコメントがついていました。そういった投稿から、住民の方がどういった点に興味を持ってくださるのかがわかりますし、住民の方に情報を拡散していただけているのはありがたいなと思います。

「マチレポ」も活躍、実生活に役立つ情報交換が加速

左2枚:クリスマス直前のやりとり、右:市の魅力に関する投稿

厚木市のマチマチではどのような投稿があるのですか?

熊谷さん: お店の新装開店や学校・保育園の情報など、実生活に直結するような投稿が多いです。「あつぎ地域SNS」では、ご高齢の方の利用が多かったこともあり、日々の出来事や趣味の記録用に使う方が多かったです。マチマチはスマートフォンで利用しやすいサービスなので、主婦層など若い世代の方々が参加してくださるようになり、やりとりが増えたと感じます。

さらに、今はマチレポ(マチマチ公式地域レポーター)*さんなどが積極的に情報を載せてくれていて、それが見本になって他の方も情報を載せてくれるようになっています。住民の方が自ら情報発信してくれるというのは大変ありがたいですね。

*「マチマチ公式地域レポーター(通称マチレポ)」とは、マチマチ上での投稿やコメントを通して、情報が得られず困っている地域の方を助けてくださる住民の方。2020年2月より活動を開始し、2021年3月現在全国で数百名の方が活動に参加しています。

参考: マチマチ公式地域レポーター(マチレポ)

情報のやりとりが増えたのですね。

熊谷さん: はい。例えば昨年のクリスマスの直前に「子どもにこれを買いたいのですが、どこで売っているか知りませんか?」という投稿がありました。それに対して、たくさんの方からすぐに返信があって。誰かが困っていたらすぐみんなで助ける、という空気ができていると思います。

萩原さん: 新しく転入された方が散歩中に見つけたきれいな景色を投稿して、元々住んでいた方が市の魅力を再発見するというケースも面白いですね。地域に長く住んでいても生活の範囲がある程度限られている場合もあるので、異なる層の住民同士が交流することで、厚木市の様々な面が見えるようになるのだと思います。

では、今後マチマチに期待することを教えてください。

熊谷さん: マチマチは利用者が増えることで、投稿の量や種類も増えて、地域の情報が知れる良い場所になっていくと思っています。そのために、今後も多くの方に利用いただけるように周知を進めていきたいです。

また、防災や有事の際の情報交換にもより使われるようになっていくと良いと思います。例えば、コロナ禍では、営業時間の短縮やテイクアウト販売などお店の状況も普段と異なります。そういった情報もマチマチ上でやりとりされると、住民の皆さんにとってより有益な情報交換の場になると思います。

熊谷さん、萩原さん、ありがとうございました!