ご近所SNSマチマチ

ご近所SNSで始める、神戸市全体のコミュニティ活性化

神戸市役所 市民協働課

官民連携の取り組みを積極的に行い、全国でも有数の先進自治体と言われる神戸市。単身世帯の増加や地域団体の高齢化といった課題を背景に関西地方で初めてマチマチと協定を締結し、住民同士の助け合いの促進を目指しています。

今回は神戸市市民協働課の田中さんにお話を伺いました。子育て世代や移住者の地域参加をどのように促進しているのか、そこにマチマチがどのように機能しているのかを中心に、コミュニティ活性化の施策についてご紹介頂きます。

田中航さん(神戸市役所 市民参画推進局市民協働課 企画調整担当)
自治会代表者への市政情報の配布や、市から市民団体等へ交付する補助金の調整など市民協働に関する業務を担当。また、市のコミュニティ活性化施策の指針の進捗管理も行う。

子育て世代などを地域に巻き込むための「ご近所SNS」

マチマチを活用する以前、神戸市の地域コミュニティが抱えていた課題を教えてください。

神戸市では若年層の流出が課題になっていて、各自治会が担い手不足や高齢化といった課題を抱えています。また、それに伴って地域活動に参加する方がどんどん減ってきていて、地域コミュニティ自体の希薄化も起きています。定住促進には確実に取り組んでいかなければいけないと考えていますし、地域活動に参加していない方や、子育て世代の市民を地域に巻き込んでいきたいという思いがあります。

課題解決に向けてこれまでどのような取り組みを行っていたのですか?

神戸市の定める「神戸市地域コミュニティ施策の基本指針」に基づき様々な取り組みを行ってきました。例えば、「ふれあいのまちづくり協議会*」に助成金を出したり、自治会の方やマンション住民の方に向けてコミュニティづくりに関するセミナーを開いたり。様々なスキルを持つ個人と人材を求める市民団体やNPO団体等とを繋げて、地域社会の課題解決に向けて協働する「ソーシャルブリッジ」のプロジェクトも行なっています。

地域の担い手不足はどこの自治体でも課題になっているので、政令指定都市や地方拠点都市間ではそれぞれの取り組みについてよく情報交換を行っているんです。ただ、一口に担い手不足と言ってもその原因は様々で、高齢化の進行、人口自体の減少などそれぞれに合わせた施策が必要になるのですが、様々な都市から話を聞いても「これ」といった解決策が見つかっていないのが現状のようです。

*神戸市では、それぞれの地域で自治会やPTA、ボランティア団体の方々が中心となって「ふれあいのまちづくり協議会」を結成し、地域福祉センターの管理や交流活動などの企画・実施を行なっています。

コミュニティの希薄化に対し、各都市が模索を続けているのですね。そんな中で神戸市でマチマチが活用されたのはなぜですか?

様々な施策を行ってきましたが、「SNSを活用したコミュニティ施策」というのは取り組んだことがありませんでした。ただ神戸市では 「子育て世代やマンション住民など、これまで地域活動に参加することが難しかった方々を地域に巻き込みたい」 という課題感を持っていたので、マチマチについての話を聞いて、新しい本市の取り組みとしてぴったりなのではと判断されて活用に向けて前向きに話が進みました。

引っ越し前から参加できる地域コミュニティ

マチマチとの協定締結において、何かハードルなどはありましたか?

これまでやったことのない取り組みなので「大丈夫かな」という思いは正直ありました。しかしマチマチは既に多くの自治体と提携して事業を行っていましたし、提携している各自治体の職員の方へ聞いても「問題なく活用している」とおっしゃっていたので、神戸市でも協定締結へ踏み切ることができました。

協定締結後、神戸市ではどのような取り組みが行われているのですか?

コミュニティ活性化に向けてまずは住民への周知と利用者増加に取り組まねばということで、協定締結と同時に市が管理する公共施設でのチラシ配布を行いました。区役所や公民館などはもちろんですが、子育て世代にもリーチしたかったので幼稚園・保育園やアンパンマンミュージアムにも声をかけてチラシを置いて頂きました。

また、子育て世代への周知ということで、教育委員会にかけあって小学校の校長先生が集まる会やPTAの集会などでもマチマチの紹介を行いました。PTAの方の中にはスマホで情報共有できる便利なツールになっているようで、実際に「こういうツールはどんどん使っていきたい」という声も頂いており、協定締結後1年以上経つ今でも継続的に活用して下さっています。 当初考えていた「新しい層を地域コミュニティに巻き込む」という面だけでなく、既に地域活動をされている方にとってもマチマチは有益なツールなんだということが分かりました。

また、神戸市では転入してきた方に向けて各種案内を封筒に入れてお配りしているのですが、その中にマチマチのチラシも入れています。引っ越してきたばかりの時は地域のことをよく知らない方が多いと思うので、そういう方がマチマチを使ってもともと神戸市に住んでいる方と交流してくれたらいいなと思っています。

マチマチを活用する中で、ご担当者である田中さん自身はどんなことを感じておられますか?

私自身マチマチに登録していて、時間を見つけては居住地と勤務地の近所の情報を結構見ているのですが、子育て世代の方が積極的に使って下さっているのだなということを実感します。やはり多くやり取りされているのは保育園や保活に関する情報交換ですね。また、面白いなと思うのは、「まだ神戸市には住んでいないけど神戸市への移住を検討中」という方からの質問なども見受けられることです。質問・回答を通して、 神戸市に住み始める前から移住者が神戸市の地域コミュニティに入り込んできていて、住民同士の助け合いが起きている のです。これはオンラインだから可能なことだと思いますし、マチマチならではですよね。

市民の声と市政情報が同時に得られるプラットフォーム

マチマチの活用によって神戸市の地域コミュニティに変化はありましたか?

先ほどの移住検討者と既に住んでいる方との交流もそうですが、マチマチを活用することで神戸市内で今までつながりのなかった方の間でのつながりが生まれ始めているのを感じます。例えば誰かからの質問に対して、「全部に答えられるわけじゃないけど、私はこんな情報なら知っているよ」など、各住民が自分のできる範囲で助け舟を出すことで、結果として市民同士で自然な支え合いができていると思います。

また、PTAの方の活用状況を見ていて、市民団体の中での情報共有としてもいいツールなのだというのがわかりました。 紙の回覧板では単に情報を回して終わりのことが多いですが、マチマチを使えばメンバーからコメントや反応を行うこともできて、団体内でのコミュニケーションが増える のがいいですね。僕は普段市役所の本庁にいて市民の方と直接関わる機会が少ないので、これからは区役所の方も巻き込みながら、自治会などでもマチマチを活用していただく方法を検討していきたいと思っています。

では、自治体としてマチマチを活用するメリットは何だと思いますか?

まず、マチマチを活用することで神戸市の発信する市政情報を神戸市の住民の方に届けられるというのはメリットだと思います。さらに、行政がFacebookや広報誌、チラシなどの各媒体で出す情報を集約することができますし、住民が発信する地域に密着した情報も同時に集約できるのも良いですね。市の発信する情報と市民の発信する情報が同時に得られるプラットフォームというのは、他にはないんじゃないかと思います。神戸市ではマチマチで発信する市政情報もまだまだ増やす余地があると思っているので、市の他の部署や区役所も巻き込みながら、もっと様々な情報を載せていきたいですね。

具体的にはどのような情報を増やしていきたいですか?

特にこれから力を入れて取り組みたいのは、防災に関する情報発信です。昨年の台風の際に他地域でマチマチ上で住民同士の助け合いが発生した事例*は把握しています。 神戸市では阪神淡路大震災の経験から、被害の大きい地域の情報は特に把握が難しいこと、市役所の職員自身も被災するため行政機関だけでの対応には限界があることを学びました。そのため、今後何かあった時に住民同士が助け合うためのツールの一つとして、マチマチを機能させていければと思っています。 そのためにもまずは利用者増加と情報発信により一層取り組んでいきたいと考えています。

田中さん、ありがとうございました!

*参考: